犬・猫のための腸活
腸活とは?
「腸活」この言葉を耳にしたことはありませんか?
最近では、犬や猫の健康を支える方法として「腸活」が注目されています。
腸活とは、腸内環境を整えることで全身の健康をサポートする事を言います。
この腸内環境を整える腸活は、愛犬や愛猫が元気で健やかな毎日を過ごすために重要なのです。
腸はただ栄養を吸収するだけでなく、体を守る免疫機能を支える重要な役割も担っているため、腸内の状態が健康に与える影響はとても大きいといえます。
なぜ犬や猫に「腸活」が必要なのか?
腸には身体の免疫細胞の約70%が存在すると言われています。
免疫細胞は体外からの異物に対し体内の免疫を守る働きをします。腸内フローラはこれら免疫細胞に働きかけて、体内の絶妙な免疫バランスを整える形で共存し、直接的に免疫細胞に働きかける他に、消化酵素を分泌して食べ物を分解したりと、身体全体の代謝をサポートしています。
この「腸内フローラ」とは、腸の中に住むさまざまな微生物の集まりのことです。
(この微生物には、健康をサポートしてくれる「善玉菌」と、増えすぎると不調を引き起こす「悪玉菌」が含まれています)
悪玉菌が増えすぎると、腸内フローラが乱れ、体にとって有害な物質が増加し、腸内環境が悪化します。これにより下痢や便秘や食欲不振といった消化器のトラブルだけではなく、アレルギー性皮膚炎の悪化、ストレスといった問題が発生する事があります。
腸内環境が整うためには、この二つのバランスがとても重要で、このバランスが保たれていると、腸が元気に働き、病気や感染症への抵抗力ができ、体の健康を守る力が高まります。
「身体の免疫力」=「健康状態」は腸内細菌に大きく左右されます。
さらに腸内フローラはメンタルヘルスにも影響を与えます。腸内環境が悪化すると、ストレスや不安、行動変化といったメンタル面にも影響が出ることがあります。
逆に腸内環境が整っていると、ストレスに対する抵抗力が高まり、犬がリラックスして過ごせるようになります。
腸活が必要な症状
愛犬の健康状態が腸内環境に影響を受けているサインを見逃さない事も大切です。
症状がなくとも予防的に普段から腸内環境を整える意識は大切です。ただ、以下のような症状が見られる場合は、腸活を意識してみてはいかがでしょうか。
皮膚の痒み、アレルギー症状
腸内環境が乱れると、炎症を制御するTreg細胞が少なくなります。そのために皮膚の炎症(アレルギー)が悪化する可能性があると言われています。
頻繁な下痢や嘔吐や便秘、食欲にムラがある
腸内環境が悪化すると、腸粘膜が薄くなり、腸の動きも鈍くなり、消化不良や食欲不振、嘔吐、下痢といった症状を繰り返すようになります。
体重の増減が激しい
腸内環境が乱れると、栄養の吸収効率が変わり、体重の増減が極端になることがあります。
無駄吠えや自傷行為、分離不安
腸内環境が悪化すると、神経伝達物質の調整が効かず、ストレスや不安、行動変化といったメンタル面にも影響が出ることがあります。
年齢による腸内環境の変化とケアの重要性
腸内環境の乱れは、愛犬や愛猫の年齢によって変わってきます。
<子犬・子猫期>
この時期は免疫機能が未熟で、腸内フローラもまだ安定していません。そのため、体調を崩しやすい時期といえます。腸活を意識して、腸内環境を整える習慣をつけることが健康な成長を支えるポイントとなります。
<シニア期>
シニア期に入ると、腸の働きが次第に鈍くなり、便秘や栄養吸収不足が目立ちやすくなります。このため、年齢に合わせたフードの選択や腸をサポートするケアが必要です。
さらに、季節の変化や住環境の違いも、腸内環境に影響を与えることがあります。
例えば、寒暖差や湿度の変化が腸の働きを鈍らせることがありますし、急な環境の変化がストレスとなり腸内バランスを崩すこともあります。
まとめ
愛犬や愛猫の腸内環境を整えることは、健康を守るための大切な健康管理の一つです。
腸活を続けることで、免疫力の向上や便秘・下痢の改善だけでなく、全身の健康をしっかりと支えることができます。
ただ、腸内環境の改善は一朝一夕で成果が出るものではありません。
長期的な視点で、日々のケアをコツコツと続けることが必要です。
腸活は小さな一歩から始めることが大切です。
また、腸活を始める際や、腸内環境について不安がある場合は必ずかかりつけの獣医師に相談し、アドバイスを受けるようにしましょう。